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【2018年度版】ISO22000における規格要求事項の変更点を原文解説

2022.06.21

「ISO22000の要求事項ってどんな内容?」
「ISO22000が改訂されたけど要求事項の変更点は?」
「改正前に取得した企業はどう対応したらいい?」
2018年6月に食品衛生法が改定され、HACCP義務化が決定したのと同時期にISO22000の規格要求事項も改訂されました。食品を取り扱う事業者の方の中には、ISO22000の改訂をご存知の方もいるのではないでしょうか?
しかし、実際にどのような内容に変更されたのか、企業の今後の対応はどのように行うべきか分からない方が多いのではないかと思います。
そこで今回は、ISO22000などの民間認証サポートを行う東邦電力株式会社が2018年度版ISO22000における要求事項の変更点について詳しく解説します。

  • ISO22000の規格要求事項とは
  • ISO22000改正の背景
  • 2018年度版ISO22000における要求事項7つの変更点

ISO22000についてまだよく知らないという方は、ISO22000について詳しく解説した記事があるのでこちらをご覧ください。

それでは、2018年度版ISO22000における要求事項の変更点についてみていきましょう。

ISO22000の規格要求事項とは?

規格要求事項とは、ISO22000を取得しようとする企業が認証取得のために満たさなければいけない基本的な要件です。
ISO22000の規格要求事項は、食品の安全な提供が行えるマネジメントシステムの構築ができていることを判断するために定められ、認証取得審査の際に、要求事項を全て満たしていなければISO22000を取得することはできません。

ISO22000規格要求事項改訂の背景

ISO22000改訂には、大きく3つの背景があります。

  • 2009年に行われた見直し検討の見送り
  • 2011年の見直しに係る投票結果、改訂推進派多数
  • HSL(ハイレベルストラクチャー)の公表

2005年にISO22000認証制度ができてから4年後の2009年に、一度ISO22000の要求事項見直しが検討されました。しかし、発行されてから間もない認証制度であることから、改訂することで利用者の混乱を招くのではないかと懸念され、改訂は見送られました。

そして、2011年に行われたISO22000の定期見直しに係る投票の結果、見直しを推進する票が多数だったため改訂が可決。改訂作業がスタートしました。
また、2012年になると、ISOからマネジメントシステムの共通構造HLS(ハイレベルストラクチャー)が公表されました。それに伴い、ISO22000を含む既存のISO規格すべてにおいてHLSに沿った形式に改正する必要が生じ、2018年改訂版ISO22000には、HLSが組み込まれています。ISO90001やISO14001についても、既に2015年には改訂版が発行されています。

2018年度版ISO22000における要求事項の7つの変更点

2012年のHLSの発行によって、ISO22000の要求事項は大きく変化しました。そのため、企業によっては、マニュアルの見直しや修正が必要になるケースもあります。
以下では、2018年度版ISO22000における要求事項7つの変更点について、それぞれ詳しく解説します。

HLSに沿った規格構造によって各マネジメントシステムが協調される

2018年版ISO22000の一番の変更点といっても過言ではないのが、2012年に発行されたHLSの導入です。
HLSは、ISOマネジメントシステム規格の共通構造で、それぞれの規格の整合性を確保し、運用管理をしやすくするために発行された構造です。

2012年以前のISO規格は、例えばISO22000とISO9001とでは、要求事項の記述の順番や用語の定義の記述方法が異なっていたため、複数のマネジメントシステムを取得・運用しようとした際に文書が膨大になり、内容理解に苦労することが問題視されていました。
2012年以降、この問題を解決すべく、それぞれのISO規格に一貫した基本構造HLSの導入を義務化しました。
それにより、用語の定義や要求事項記載の順番が変化したため、企業によっては、マニュアルの見直しや改善を行う必要がある場合も少なくありません。

OPRPなどの用語の定義変更

OPRPをはじめとするいくつかの用語の定義が変更されました。
特に重要管理点「CCP」と管理手段「Control Measure」の「Control」という用語が、確実に危害を抑えられる工程に限定されました。
そして新たに、「絶対に管理すべきと判断された工程「重要な食品安全ハザード(significant food safety hazerd)」という用語が加わり、重要な食品安全ハザードについては、管理手段(CCPやOPRP)で管理すると定めました。
それによりOPRPの定義が鮮明になり、マネジメントシステム全体に大きな影響を及ぼしています。

2005年版 2018年版
PRP 食品の生産、取扱及び提供に適したフードチェーン全体の衛生管理の維持に必要な基本的条件・活動 組織内及びフードチェーン全体の衛生管理の維持に必要な基本的条件・活動
CCP 管理が可能であり、食品安全ハザードを予防又は除去・許容水準にまで低減するために必要な段階。 重要な食品安全ハザードを予防または許容レベルにまで低減するために管理手段が適用され、規定された許容限界・測定が修正の適用可能にする段階。
(=不適合を起こさない仕組みと不適合な製品を作らない出荷しない仕組み)
OPRP 食品安全ハザードが製品又は加工環境へ混入することや、製品又は加工環境における食品安全ハザードからの汚染・増加に起こりやすさを管理するために必要なものとしてはざー分析によって明確にされた手順。
(=オペレーションが必要なPRP)
重要な食品ハザードを予防又は許容レベルまで低減させるための管理手段や管理手段の組み合わせのことで、処置基準又は、測定・観察がプロセス又は製品の効果的な管理を可能にするもの。
(=OPRPはPRPの一つではなくなった。)

例えば、CCPのモニタリングについて。2018年版では、モニタリングを目視でやることは、「作業環境からハザードを減少させていく管理手段」のOPRPに該当します。
そのため、2005年版で行ったOPRPとCCPの分類を入れ替える必要が生じます。
2018年版では、一度OPRPとCCPの定義と分類した結果との整合性の確認しましょう。

他にも、「危害(Harm)」は「健康に悪影響(Adverse health effect)」に置き換えられたり、「保証(asuurance)」を使用する際は、食品安全保証に基づいた消費者と食品との関係に対する内容に限る等、いくつかの用語の定義変更が行われています。

「リスクに基づく考え方」の導入

2005年版ISO22000では、HACCPに基づく衛生管理の中で食品安全ハザードに関する食品安全リスクについて取り扱ってきました。
2018年版では、食品安全リスクに加え、会社経営に関する食品安全リスクについても記述があります。
「リスクに基づく考え方」は、「リスク及び機会」と「食品安全ハザードの食品安全リスク」の2種類のリスクにわかれ、それぞれ「好ましい方向又は好ましくない方向に乖離すること」「健康への悪影響の重大さ」と定義されています。

外部から提供されるプロセス・製品またはサービスの管理

外部から仕入れる原料などの購買管理に対する要求事項が、2018年版から新たに追加されました。内容は、原料や包材などを供給する事業者からサービスの供給者までにおいて食品安全に影響を与える場合、評価・選択・再評価することが要求事項として記述されています。
ここで最も重要な対応は、外部の提供者が知らなければいけない事項(法令規制要求事項を含む組織が守るべき要求事項など)を適切に伝達する仕組みづくりを行うことです。
また、外部から提供されるプロセス・製品またはサービスに対する検査や分析、その他の食品安全への影響に適切な管理が必要です。
例えば、以下の内容が該当します。

  • 原料の仕入れの際の受入検査(製品面)
  • 日常的に行うパフォーマンス評価が挙げられます。(サービス面)

ここでは、手順を文書化することは求められていませんが、検査・分析または管理した結果については文書化して保管が必要です。

2つのPDCAサイクルによるプロセスアプローチの強調

2018年版ISO22000では、プロセスアプローチの実施が要求されています。
「リスクに基づく考え方」の導入により、リスクベースによるマネジメントシステムのPDCAとHACCP原則による現場のPDCAの2つのサイクルを機能させる必要があります。
プロセスアプローチとは、プロセス(工程)を明確にし、一連のプロセスをシステムとして管理することで、要求事項4~10条が規格全体の組織面のPDCAとその中にある運用面のPDCAを構成し、継続的な改善を実現するアプローチです。

外部開発されたFMSM

2018年版ISO22000では、同業者が開発したものであれば、HACCPプランやフローダイアグラム、ハザード分析など、外部で開発されたFMSMを使用することが可能であることが明確に記載されています。

法令・規制要求事項の整理

2005年版から引き続き、2018年版でも法令・規制に関する要求事項が記載されています。
食品安全を実現するためにも、トップマネジメントによる法令・規制への取り組みを確実に行う必要があります。

SUMMARYまとめ

2018年版ISO22000では、大きく7つの変更点がありました。
HLSの導入や用語の定義変更によって規格の章立てや内容が大きく変わり、複数規格の管理がしやすくなったり、より確実な食品安全を実現するマネジメントシステムの構築が可能になります。
認証取得企業様の中には、マニュアルの確認や再作成などの対応に追われる方もいるのではないでしょうか?
東邦電力株式会社では、民間認証取得サポートを行っております。
2018年度ISO22000の認証取得や対応についてお困りの方はぜひ一度お問合せください。

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東邦電気工事株式会社

受変電設備・キュービクルの更新・メンテナンスから食品工場の衛生管理・HACCP対応、保守管理、高圧電気工事、空調設備工事、災害対策設備(BCP)は名古屋市・一宮市の東邦電気工事株式会社にお任せください。昭和11年に創業、昭和31年に東邦電気工事株式会社として法人化。それ以降、総合電気工事メーカーとしてたくさんの工場のお客様から直接受注を頂いてきました。現在は繊維工場や自動車関連工場だけでなく、食品工場や公官庁の電気工事・メンテナンスにも携わっており、お客様の「安心と感動」を提供するために日々邁進しております。

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